エアロフォン雑記帳

Aerophone AE-30に関する備忘録的雑記帳です。

ZOOM A1X Four を Aerophone AE-30 につなげる時のTIPS

AE-30 は、設定をいじることによって、様々なエフェクトをかけることができます。
しかし、その設定方法がちょっと面倒くさいのです。

 

AE-30のエフェクト-例えば、ReverbとかDelayとか-は、全てシーンの中に定義されていています。
それはそれで良い、と言うか「正しい」とは思いますが、今使っているシーンにもう少しReverbをかけたいと思った場合でも、いちいちスマホアプリの”Aerophone PRO EDITOR”や本体のSceneメニューを開いて、シーンに定義されているパラメータをちまちま編集した後、ユーザシーンとして登録し、それを呼び出して使う必要があります。
しかもこのパラメータの設定項目が複雑なので、そこそこ面倒くさい思いをします。
本体メニューの中に、全てのシーン対応するエフェクトが用意されていれば良かったのに・・・
そこで、マルチエフェクタの”ZOOM A1X Four”を買ってみました。

 

f:id:inakichi88:20220120001202j:plain


この”A1X Four”は、出力端子の無いアナログ楽器(管・弦楽器など)の演奏音をマイクで拾い、その音にエフェクトをかけるツールです。

同じような商品に”G1X Four”と言うものもあり、こちらは出力端子のある楽器用で、実質的にはエレキギターでの使用を前提に作られたものです。
Aerophoneは電子楽器ですから、当然出力端子が付いています。
ってことは、別に”A1X”を買わなくても,5000円も安い”G1X”で良かったのですが、プリセットとして用意されているエフェクトの中に、サックス(当然、「本物の」ね)用のグローをかけるものがあり、それを使ってみたくて”A1X”を選択しました。
AE-30でサックスのシーンを選ぶと、サムパッドにグローをかける機能がアサインされていますが、あれ、素人にはかけるタイミングが難しいし、操作ミスにより必要のないところでかかってしまう場合もあり、半ば使用を諦めていた、と言うことも、購入に踏み切った理由の一つです。


さて、早速 AE-30 に A1X Four を接続してみましょう。
・・・と、言いたいところですが、ここでちょっと困ったことがあるんですよ。

A1X Four の入力端子はモノラル仕様です。恐らく、エレキギターでの使用を念頭に置いた G1X Four の仕様を、そのまま引き継いだんでしょうね。

対して AE-30 の出力端子は、主にヘッドフォンやイヤフォンを使うためのステレオミニジャックと、標準ステレオフォンケーブルを差すための LINE OUT の二つがあります。
このどちらかにケーブルを差し、A1X Four の入力端子につなぐことになるのですが、上に述べたように AE-30 の二つある出力端子は、いずれもステレオなんです。
つまり、ステレオ出力をアナログ端子で受けることになります。
と言うことは、仕様上、A1X Four で受け取るのは L(左側)チャネルの信号のみとなり、R(右側)チャネルの信号は無視されてしまいます。
実際にステレオフォンケーブル(モノラルケーブルは使わない方が安全です)で両者を接続してみたところ、当然のことながら音が小さかったです。
A1X Four のボリューム調整で、実用域までレベルを上げることはできますが、消えたRチャネルの信号が気になります。
 

で、AE-30 が発音をL-Rにどう振り分けているのか、「AE-03パラメータガイド」で調べてみました。

それによると、PANの振り分けを行う場所とタイミングは、トーン(基本になる音色)中にあらかじめ規定されているものの他、
  1.  トーンにかける一部のMFX(エフェクト)の中
  2.  MFX(エフェクト)をかけたトーン(最大4つ)をマージした後
  3.  MFXをかけない(DRY)トーン(最大4つ)をマージした後
  4.  上記2.3.をマージした後にかける一部のIFX(MFXとは別のエフェクト?)の中
と言う、きわめて複雑なものだと分かりました。
もっともこれは、トーンが”ZEN-Core”の場合に限ったことで、”Super-NATURAL”トーンやドラムキットの場合は、もっとシンプルな処理になります。
 
なるほどね。
当たり前とは言え、やはりLチャネルからだけの信号では、せっかくAE-30が作りこんだ発音を活かすことはできないようです。
ただし、私が調べたところによれば、生楽器に近いトーン、例えば”ALT SAX”などは、上記のどのタイミングでも、PANの設定はされていない、すなわち、L-R両チャネルに均等に音を振り分けているようです。
と言うことは、生楽器に近いトーンを使う限り、信号強度は別にして、L信号だけの出力でも AE-30 の発音そのものを A1X Four に送ることは可能です。
とは言え、どうせならL-R両方の信号を A1X Four に送りたい・・・
でも、上記全てのタイミングで行われているPAN設定を、Aerophone PRO EDITOR(本体のメニューからでもできますが、ちょっと面倒くさい) でLチャネルに全て振り分けるよう設定することは、とても現実的とは言えません。
 
そこで、L-Rに分かれた二つのチャネル信号をマージする変換器を買おうと、方々探しましたが、意外にも見つけられませんでした。
このような用途の変換器は、もしかしたら市販されていないのかもしれません。
となると、PAN設定のコントロールチェンジ(CC#10)を、AE-30のいずれかのキーに割り付けるしかありません。
と言うか、これが一番簡単な方法ですね~。
では、今からそのやり方を説明します。
 
【AE-30 でのPAN設定方法】
例として、S1キーに割り当ててみます。
AE-30本体 のメニューで、
  1. 「Assign / S1_1 Func」 : "CC 10" を選択
  2. 「Assign / S1_1 Release Val」 : ”64” を入力
  3. 「Assign / S1_1 Press Val」 : ”0” を入力
  4. 「Assign / S1_1 Mode」 : ”Latch” を選択

"CC 10" ・・・ PAN を設定するコントロールチェンジ番号
"Release Val" ・・・ S1をボタンを離したときに送られる値
”Press Val” ・・・ S1をボタンを押したときに送られる値
 ※Mode が"Latch"の場合、ボタンを押すたびにこの二つに設定された値でPANが切り替わる
PANの設定値は、”0:Lチャネルのみ”、”64:L-R均等”、"127:Rチャネルのみ"

 

S1キーの使い方は簡単で、

●A1X Four を使う直前にS1キーを押し、出力信号をLチャネルに全振りする。
●A1X Four を使い終わったら、再度S1キーを押して、L-R双方に等分に振り分ける。

まぁ、これをやったところで、シンセ系などのシーンに設定されている AUTO PAN などは、当然ながら無効になりますけどね。