ZOOM A1X Four を Aerophone AE-30 につなげる時のTIPS
この”A1X Four”は、出力端子の無いアナログ楽器(管・弦楽器など)の演奏音をマイクで拾い、その音にエフェクトをかけるツールです。
さて、早速 AE-30 に A1X Four を接続してみましょう。
・・・と、言いたいところですが、ここでちょっと困ったことがあるんですよ。
A1X Four の入力端子はモノラル仕様です。恐らく、エレキギターでの使用を念頭に置いた G1X Four の仕様を、そのまま引き継いだんでしょうね。
つまり、ステレオ出力をアナログ端子で受けることになります。
で、AE-30 が発音をL-Rにどう振り分けているのか、「AE-03パラメータガイド」で調べてみました。
- トーンにかける一部のMFX(エフェクト)の中
- MFX(エフェクト)をかけたトーン(最大4つ)をマージした後
- MFXをかけない(DRY)トーン(最大4つ)をマージした後
- 上記2.3.をマージした後にかける一部のIFX(MFXとは別のエフェクト?)の中
当たり前とは言え、やはりLチャネルからだけの信号では、せっかくAE-30が作りこんだ発音を活かすことはできないようです。
とは言え、どうせならL-R両方の信号を A1X Four に送りたい・・・
このような用途の変換器は、もしかしたら市販されていないのかもしれません。
- 「Assign / S1_1 Func」 : "CC 10" を選択
- 「Assign / S1_1 Release Val」 : ”64” を入力
- 「Assign / S1_1 Press Val」 : ”0” を入力
- 「Assign / S1_1 Mode」 : ”Latch” を選択
"CC 10" ・・・ PAN を設定するコントロールチェンジ番号
"Release Val" ・・・ S1をボタンを離したときに送られる値
”Press Val” ・・・ S1をボタンを押したときに送られる値
※Mode が"Latch"の場合、ボタンを押すたびにこの二つに設定された値でPANが切り替わる
PANの設定値は、”0:Lチャネルのみ”、”64:L-R均等”、"127:Rチャネルのみ"
S1キーの使い方は簡単で、
●A1X Four を使う直前にS1キーを押し、出力信号をLチャネルに全振りする。
●A1X Four を使い終わったら、再度S1キーを押して、L-R双方に等分に振り分ける。
まぁ、これをやったところで、シンセ系などのシーンに設定されている AUTO PAN などは、当然ながら無効になりますけどね。
FCB1010でAerophone AE-30を制御する(その2)
前回に引き続き、FCB1010でAerophone AE-30を制御する方法のご紹介です。
今回は、AE-30に登録してある複数のフェバリットシーンを、FCB1010のフットスイッチを押すたびに順に切り替える方法を説明したいと思います。
FCB1010の使用法が分からない方は、こちらをご覧ください。
また、前回エントリの、
をご覧いただいてから、今回のエントリをご覧いただく方が、より理解しやすいかと思います。
AE-30のフェバリットシーンをFCB1010のフットスイッチで切り替える方法
まずは、フェバリットシーンを切り替えるためには、どのようなMIDIメッセージが必要かを調べます。
1.「AE-30パラメータガイド」のP67”コントロール・チェンジ一覧”を見る。
この表には、FCB1010などのMIDIコントローラで制御できるAE-30の機能が列挙されています。
機能に関してはちょっと分かりにくい表現もあり、私も全てを理解できてはいません。
おいおい、読み解いていくつもりです。
ともあれ、今回使いたい機能「フェバリットシーンの切り替え」は、
「CC#22 Favorite Down」 と 「CC#23 Favorite Up」
を使えばよいことが分かりました。
ところで、このパラメータガイドの”コントロール・チェンジ一覧”には、重大な欠陥があります。
それは、CCに付加する値(Value)の記述がすっかり抜けていることです。
このせいで、MIDIコントローラからAE-30の機能を制御することを諦めてしまった方も、もしかしたらいるかもしれませんね。
プログラムチェンジ(PC)と違い、コントロールチェンジ(CC)をMIDIメッセージとして送る場合、1個以上の値をパラメータ(正確にはアーギュメントなんじゃないかな)として付加する必要があります。
例えば、ボリュームを制御するCC#7の場合、ボリュームの大きさを同時に指定しないと、どの位の大きさで音を鳴らせばよいか、制御を受ける側(楽器など)が判断できません。
なので、MIDIメッセージとしてCC#7を送る場合は、同時にボリュームの大きさを指定する値を付加する必要があるのです。
ところが、この”コントロール・チェンジ一覧”には、付加する値が記述されていないため、CC番号が分かっても完全なMIDIメッセージを組み立てることができません。
こりゃ完全に詰まりましたか・・・
いやいや、ご安心ください。
MIDIメッセージを実際にプログラミングした経験豊富な方なら、対処法がすぐにお分かりになると思います。
実は、ほとんどのCCについては、何の値を付加する必要があるのか、だいたい推察できるのです。
上述したCC#7「ボリュームの指定」の場合、0~127の範囲の値を指定することが既知、つまり、ほとんどのMIDI機器において「CC#7の付加値に”0”を指定したら音が鳴らない、そして”127”を指定したら最大の音量で鳴る」と言うことが、既に知られているのです。
また、何らかの機能をON/OFFさせるCCの場合は、”0”を指定すると機能OFF、”127”を指定すると機能ONとなる仕様が一般的です。
一方、”0~63”の範囲のいずれかの数値を付加値とすれば機能OFF、”64~127”のいずれかで機能ONと言うMIDI機器の場合もありますが、とりあえずは”0”でOFF、”127”でONと覚えておけば間違いありません。
ちなみに、付加値として指定する数値は、現仕様では”0”から”127”の間の値しかありません。
このあたり、詳細説明は勘弁してください(笑)
と言うことで、”コントロール・チェンジ一覧”の記述漏れについては、恐らく実害はありません。
それにしても、やっぱり不親切としか言いようがありませんけどね。
さて、気を取り直して話を戻しましょう。
フェバリットシーン切り替えに必要なCC番号が分かったので、これを使ったMIDIメッセージをFCB1010に登録していきます。
例として、フットスイッチ#5に「フェバリットシーンを1つ下に移動」、スイッチ#0に「フェバリットシーンを1つ上に移動」を割り当ててみます。
※以下に述べる一つ一つの操作の意味するところは、
をご覧ください。
まず、フットスイッチ#5に「CC#22 Favorite Down」と付加値としてONを意味する”127”を割り当てます。
2.フットスイッチ#5を押す。
3.DOWNキーを長押して、プログラムモードに入る。
4.UPキーを押す。
ところで、今回使用するMIDIメッセージはCCが一つだけなので、メモリ番号6を使用することにします。(7でも可)
※このあたりの話しが?な方は、前回のエントリご覧ください。
5.フットスイッチ#6を長押しする。
そして、メモリ番号6以外のメモリ領域に登録してあるMIDIメッセージを送信不要にします。
6.フットスイッチの#1、#6、#8、#9以外でLEDが点灯しているフットペダルを長押しする。
フットスイッチ#8および#9は、エクスプレッションペダル制御用ですので、今回は送信してもしなくてよ良いのですが、とりあえず送信対象としておきます。
※エクスプレッションペダル用のメモリ領域(#8、#9)については、以前のエントリで説明した図中の説明文をご覧ください。
7.フットスイッチ#6を押す。
8.UPキーを押す。
9.フットスイッチ#2、続けてもう一度#2を押す。
10.UPキーを押す。
11.フットスイッチ#1、続けて#2、#7と押す。
12.UPキーを押す。
13.DOWNキーを長押しする。
以上で、フットスイッチ#5へ「フェバリットシーンを1つ下に移動」を割り付けることができました。
続けて、フットスイッチ#10へ「フェバリットシーンを1つ上に移動」を割り付けます。
14.フットスイッチ#5を押す。
15.DOWNキーを長押して、プログラムモードに入る。
16.UPキーを押す。
17.フットスイッチ#6を長押しする。
18.フットスイッチの#1、#6、#8、#9以外でLEDが点灯しているフットペダルを長押しする。
19.フットスイッチ#6を押す。
20.UPキーを押す。
21.フットスイッチ#2、続けてもう一度#3を押す。
22.UPキーを押す。
23.フットスイッチ#1、続けて#2、#7と押す。
24.UPキーを押す。25.DOWNキーを長押しする。
これで完成です!
ふぅ~、お疲れさまでした。
FCB1010でAerophone AE-30を制御する(その1)
をご一読いただくことをお勧めします。
1.「AE-30シーンリスト」のP3”シーンリスト”を見て、切り替えたいシーンを見つける。
まぁ、エンターキーを押す、って感じですね。
このLEDが点灯しているフットスイッチは何なのか・・・
FCB1010は「あるフットスイッチを押すと、PC5個+CC2個、合計7個のMIDIメッセージを同時に送信できる」のです。そして、「各フットスイッチに、あらかじめMIDIメッセージを格納させておくメモリ領域が9個(上記7個+エクスプレッションペダル用2個)用意されている」
だからと言って、他のメモリ領域(例えば#2とか#6など)に、MIDIメッセージが登録されていない、とは言い切れないのです。
そう、ここまで来ればお分かりかと思いますが、この赤く点灯しているLEDは、前回のエントリで説明した図中の「送信要否フラグ」を表してるのです。つまり、#1が点灯していたら、
- MSB値とLSB値を使ってバンクを切り替える
- プログラムチェンジにシーンの番号を指定する
※MIDIに詳しくない方に、上記が何を意味しているか説明するのは難しいので、申し訳ないのですが割愛させてください。
今から登録していきたいMIDIメッセージは、
また、PCはメモリ番号#1~#5に計5つ登録できますが、今回は1つしか使わないので、#1を使うことにします。
CC2個に関しては、メモリ番号#6と#7の両方を使いますが、これらは現在、送信対象になっていません。
ですので、これからMIDIメッセージを書き込む#6と#7を、送信可能にしなければなりません。
※もし既にフットスイッチ#6のLEDが点灯している場合は、次のステップは不要です。
ここで注意しなくてはならない点があります。
送信不要なメモリ番号に対してLEDが点灯していたら、そのメモリ番号の送信可否をOFFにする必要があるのです。
複数のLEDをOFFにするには、上記操作を繰り返してください。
この表に書かれているCCの中で、バンク切り替えに必要となるのは2つ。”Bank Select MSB” と ”Bank Select LSB” です。
表中の「コントロールする機能」からこの2つを探し、表の左に書いてある「CC#」を読み取ります。
Bank Select LSB : CC#32
CC用メモリ2に、CC番号”32”と値”65”を書き込む
さあ、CC番号を入力しましょう。
次に、CC#0に付加する値(85)を入力します。
MSBの登録と全く同じ手順なので、手順のみ列挙します。
続けてサクッと登録してしまいましょう。
次に、PC番号を入力します。
同時にフットスイッチ#1のLEDが点滅から消灯に変わり、メモリ番号選択状態に戻ります。
では、実際にFCB1010を操作して、AE-30のシーンが変わるかどうか確認してみましょう。
シーンが切り替わり、別の音色に変わりました!!
これって、切り替えたいシーンじゃないような・・・
あれ?今度は指定したシーンに切り替わりましたよ。
でも、なぜ????
CC・・・バンクの切り替え(シーンカテゴリの切り替え)
PC・・・シーン番号の指定
になっている状態で#3ペダル(シーンカテゴリ:#2、シーン番号:#11)を押すと、シーンカテゴリを#2(Synth Soft Lead)へ切り替える信号を送る前に、シーン番号#11への切り替え信号が送られてしまい、結果的に、同じシーンカテゴリのシーン番号#11-すなわち"Alt Sax 2 Vib"-へ切り替わってしまうのです。シーンカテゴリ:#5(Woodwinds)
シーン番号:#1(Soprano Sax 1)
分かりにくい部分がありましたら、コメントでご質問ください。
また、内容に誤り等があった場合も、コメントでご指摘いただけると助かります。
behringer FCB1010の使用法でお悩みの方へ
ブログ一発目の記事として、今回は behringer の MIDIフットコントローラ FCB1010の「使用法が分からない」、もしくは、「使用法は分かったけれど、何かしっくりこない」とお悩みの方へ、少しくらいはお力になれる・・・かもしれない話しをしたいと思います。
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私がFCB1010を買ったのは、Aerophone AE-30の様々なパラメータを切り替えながら演奏できたら恰好良いだろう、と思ったからです。
まぁ、人前で演奏することは考えていないので(と言うか、そこまでのレベルに達するには相当時間がかかる、ってことです)、いらないっちゃいらないのですが、とりあえず勢いで買っちゃいました。
形から入るのがジジィ趣味、なのですよ。
ところが、買ったは良いものの、いざ使おうとすると、製品マニュアルを読んでも操作法が全く理解できませんでした。
何と言うか、マニュアルに記載されている情報が系統立てて整理されておらず、個々の記述が結局何を意味しているのか、そこがさっぱり分からないのです。
そこでネット上の情報を漁ったところ、YouTubeにたくさんの動画が上がっていました。
ところが、それが全部英語(笑)
私はそこそこ英語が理解できますが、ネイティブが普通に使う表現に疎いため、読解が難しかったです。
そんなこんなで、半日かけてやっとこさ操作法を理解し、無事AE-30を制御することができました。
そんな経験から言うと、操作法を覚えるには、まずはその前提となるFCB1010の仕様、と言うか設計思想みたいなものを理解するのが早道に思えました。
一見複雑に思える操作法がスッキリ理解できる-そんな予備知識からお話しします。
※以下、一通りMIDIに関する知識がある方向けに話しを進めます。
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まず、次のイラストで、FCB1010の外観を確認してみましょう。
ご覧の通り、左側にフットスイッチが10個(#1~0)、そして右側にエクスプレッションペダルが2個あります。
このスイッチやペダルを使ってFCB1010に接続したMIDI機器を制御するには、スイッチあるいはペダルに実行させたい命令(MIDIメッセージ)をあらかじめ書き込んでおく(プログラミング)必要があります。
その具体的な方法をお話しする前に、FCB1010の仕様を確認しておきましょう。
(※説明の簡略化のため、MIDI Noteについては省略します)
【フットスイッチを押したときの仕様】
フットスイッチを押したとき、5つのPC(プログラムチェンジ)と、2つのCC(コントロールチェンジ)を、同時に送信することができる。
そして、これを聞いた私は、次のように勘違い(と言うか、思い込みかな?)してしまったのです。
なるほど。
フットスイッチごとにMIDIメッセージを書き込むメモリ領域が用意されているのだな。
で、メッセージを書き込むときは、フットスイッチの番号を指定して、そこに割り付けたいCCとかPCを書き込んでおく・・・ってことか。
単純じゃ~ん。
例えば、
フットスイッチ#1 : Volume制御のため CC#07 1つのみを書き込む
フットスイッチ#2 : バンク選択のため CC#01 および CC#32、さらに選択したバンクに送る PC の計3つを書き込む。
って感じです。
ところが、違うんですよ、これ。
皆さんの中にも、きっと私と同じ思い込みから、この後、訳が分からなくなってしまった方がいるはずです。
正解は、
全てのフットスイッチ1つずつに、「PC書き込み用メモリ領域が5つ」、「CC書き込み用メモリ領域が2つ」用意されおり、各メモリ領域に「書き込まれたメッセージを実際に送信するかどうか選択するフラグ(「スイッチ」の方が正しい表現かもしれませんが、ややこしいから「フラグ」で)」が用意されている。
なのです。
つまり、使う/使わないに関わらず、全てのフットスイッチには、5個のPC格納用メモリ領域と2個のCC格納用領域が最初から用意されているのです。
そして、上記のフットスイッチ#1を例にとると、
CCを1つしか使わないから、2つあるCC格納用領域のどちらか1つに#07とValueを入れ、その領域の送信フラグをONにし、もう一つのCC格納用領域およ5個のPC格納用領域の送信要否フラグをOFFにする。
と言う操作が必要になります。
まとめると、次の図のようになります。
さて、あとは実際にFCB1010を使ってMIDIメッセージを書き込むだけなのですが、この操作も結構複雑でややこしいのです。
ですが、ここまで書いてきたことをご理解いただければ、なぜこのような複雑な操作が必要なのか、そして操作の一つ一つの意味をきっとご理解いただけると思います。
それでは次回のエントリでは、実際にFCB1010を使ってAerophone AE-30を制御する方法を述べます。
その過程で、FCB1010で必要な操作の意味を知ることができるはずです。
具体的なFCB1010の操作を順を追って説明しますので、他のMIDI機器を制御したい方にも参考になると思いますよ!